本研究は、障害乳幼児を抱えて就労している母親に視点をあて、「母親の生活スタイル」「障害乳幼児を育てていく上でのストレス」「必要な教育的サポート」について明らかにするものである。 平成15年度に障害乳幼児を育てている母親に対して8地区382名(回収率46%)にアンケート調査を行い、平成16〜17年度には障害乳幼児を養育しながら就労している母親66名に対して個別の面接調査を行い情報収集するとともに、地域の支援システムの実状も調査した。 アンケート調査の結果で明らかに差の見られる地域の特性は、「同居家族の有無」や「交通の便」といった生活スタイル及び環境の違いであった。一方、インタビュー調査の結果からは地域の特性と密接に関係している内容は明確にはならなかった。このことから、地域状況が整備されていても、未整備であっても、その如何に関わらず、保護者はさらによりよい、状況を求めているということが考えられた。地域の支援システムとしては、「母子保健・幼保・学校の現場レベルで連携のとれている地域」「母子保健・幼保・学校が独立している地域」「行政レベルで明確なシステムのある地域」に整理された。 また、障害乳幼児を養育している保護者は、小さなことにイライラしたり、日々の生活から解放されたいという気持ちを日常的に持っていたりする一方で、生活に頑張り甲斐や楽しさも感じていた。そして、就労している保護者よりも、就労していない保護者の方が子育てに関する悩みを感じており、特に「孤立感や孤独感」に差が見られた。これらのことから、障害乳幼児を抱えている保護者を支援していく視点として、就労の有無や同居家族の有無よって悩みの内容が異なることや、保護者一人ひとりのライフスタイルを尊重した上での支援が重要であると考えられた。 なお、本研究の成果報告書を作成し、関係機関等に配布した。
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