研究概要 |
本年度の研究では,周期積分を表す多変数超幾何級数とそれのモノドロミー性質について調べ成果を得た.特に,商特異点のc_1=0解消から得られる非コンパクトなカラビ・ヤウ多様体について,特異点理論との関連を明確にすることによって,周期積分が原始形式(primitive form)と呼ばれるもののサイクル上の積分を表すことが明らかになった.また,2次元の商特異点の場合に,サイクルとそのモノドロミー性質について,ホモロジー的ミラー対称性の観点からみた描象が明らかになり,コホモロジーに値をとる超幾何級数を導入するに至った.さらに,2次元では,商特異点の解消が点のヒルベルト概型で表されることが,周期積分の解析の見通しを良くすることが明らかになり,このことによって,3次元への拡張の手掛かりが得られた. また,本年度に開催された次の国際研究集会における講演にて研究成果を口頭にて発表した.「Fourier-Mukai partners and monodromy transforms of hypergeometric series」,Workshop on Algebraic Geometry and Physics,6月,於:University of Salamanca(Spain);「Monodromy transforms of hypergeometric series and singularity theory」,Calabi-Yau Varieties and Mirror Symmetry,12月,於:The Banff International Research Station(Canada)
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