研究概要 |
今年度の研究計画に従って,商特異点のc_1=0解消に関するMcKay対応の場合に局所ミラー対称性を調べた.その成果として,1)この場合の周期積分の正確な定義が得られ,さらに特異点理論において知られている原始形式(primitive form)との類似と相違が明らかになった,2)幾つかの具体的な例の場合に,実際に積分サイクルを構成し,周期積分をあからさまに積分することが出来た,3)前述の例の場合に周期積分のモノドロミー性質を完全に決定することが出来た.具体的に構成された例では,積分サイクル(消滅サイクル)とそれらのミラー双対としての連接層との対応が具体的に現れていることが観察された.特に,幾つかの消滅サイクルは非コンパクトなサイクルとなって現れることが見いだされ,この事実がミラー双対である連接層の幾何学においてどのように反映するか,と言う新しい問題提起に結びついた. また研究計画に従って,変形の次元が1次元であるカラビ・ヤウ多様体の周期積分に関して,そのモノドロミー性質の分類を行ったC.Doran(米国Washington大)氏を招聘し,研究成果の詳細な解説を受けた.その結果,カラビ・ヤウ超曲面の周期積分を定める微分方程式と,ファノ多様体の量子コホモロジーに関する微分方程式との間に不思議なつながりが見いだされた. これらの研究成果について,以下の国際研究集会に於いて発表を行った:(i)"Mirror Symmetry Conference",Jul.9to13(2004),於:The National Center for Theoretical Sciences(CTS),Taiwan.(ii)"Gromov-Witten Therory and Its Related Topics",Nov.1to6(2004),於:KIAS, Korea.
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