研究概要 |
素数と結び目の類似に基づき,整数論と3次元トポロジーの相互啓発的研究を行った。具体的な研究及び成果は次の通り。 ・3次元球面内の絡み目の分岐巡回被覆のp-ホモロジー群(pは素数)のGelois加群構造をMilnor不変量を用いて決定し,さらに,p次分岐巡回被覆のp-ホモロジー群の位数に対して,岩澤類数公式の類似を示した。この成果を国内の研究集会で発表した。この方法をある種の有理数体のp次巡回拡大のp-イデアル類群へ応用し,そのGalois加群構造について,古典的なRedeiの公式を一般化する成果を得た。これについて論文2篇を著した。 ・岩澤理論とAlexander-Fux,トーションの理論の間の類似性について研究した。特に,数論的ゼータ関数の特殊値の研究において,加藤和也氏により導入されたゼータ元という概念のトポロジーにおける類似がReidemeisterトーションに対応すること,そしてCheger-MullerによるReidemeisterトーション=解析的トーションという定理も,行列式加群を用いて,加藤氏の定式化にならって述べられることを考察した。 ・結び目群とGalois群の表現のモジュライの構造の類似性について考察した。特に結び目群の1次表現のモジュライ中のAlexander stratificationとコホモロジーのjunping locusが一致するという広中えり子氏の定理のGalois表現に対する類似を得た。さらに,2次の表現のモジュライについても,類似性を研究した。 また,平成16年12月京大数理研で、代数的整数論の研究集会を主催した。
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