研究概要 |
1982年,B.Saganによって導入されたhook length posetは「P-partitionの母関数がq-整数を用いた積の形で表される」といった性質をもっている.他方,d-complete posetは,hook length posetとなることが知られており,15系列に完全に分類されている.また,d-complete posetのlinear extensionはCoxeter groupのminuscule elementの最短表示と対応している.以上のことを考慮した上で「hook length posetの完全な分類」と「hook length posetの組合せ論的構造と表現論的意味付け」を目的とした研究を行い,今年度は主として下記の結果を得た. 1.d-complete posetの15系列の中のSwivels caseのq-hook length formulaの多変数化を行った.そのときに鍵となったのは,Swivels caseのq-hook length formulaの証明のときに得られた等式であった.そこで,鳥取大学の石川氏との共同研究により,q-hook length formulaの証明が未完成であったPumps, Tailed Pumps, Near Bats, Bat caseに対してその証明を行い,系として6次のPfaffianの積公式を得た.尚,このことにより,これまでの結果と合わせると,全てのd-complete posetに対するq-hook length formulaの証明ができたことになった. 2.鳥取大学の石川氏,名古屋大学の岡田氏.リヨン大学のZeng氏との共同研究により,Cauchy DeterminantとSchur's Pfaffianの拡張として岡田氏によって2003年に予想されていた等式の証明およびそのさらなる拡張を行った.これらの拡張された等式はq-hook length formulaの多変数化の証明に利用できると期待している.
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