研究概要 |
本年度は,線形化問題と密接な関係のあるCancellation問題についてさらにいくつか成果が得られた.また,一般化されたJacobian問題についても成果が得られた. 1.Cancellation問題は,"多項式環上のsliceをもつlocally nilpotent derivationの核は,多項式環であるか?"と言い換えられる.増田は,「多項式環上のsliceをもつtriangular derivationの核は,多項式環である」ことを幾何的に示した.triangular derivationは,locally nilpotent derivationの1種である. triangular derivationは,線形化問題ならびにEmbedding Problemとも非常に密接に関連していることがわかっている.現在,triangular derivation,トーラス群の作用という視点からEmbedding Problemについて研究を進めている.2005年12月に台湾で行われたアメリカ数学会-台湾数学会合同会議のアファイン代数幾何セッションでは,locally nilpotent derivationについて詳しいG. Freudenburg, A. van den Essenらと議論をすることができ,たいへん有意義であった. 2.一般化されたJacobian問題については,affine pseudo-planesとよばれる代数曲面の場合に宮西が中心となって研究を進めた.その結果,「affine pseudo-planesに対する一般化されたJacobian問題は,affine pseudo-planesがGeneralized Sard Propertyを満たせば正しい」ということが新たにわかった.また,数論的,組み合わせ論視点からJacobian予想を研究しているP. Cassou-Noguesと共同研究を行い,今後研究を進める上において重要な示唆的結果がいくつか得られた.
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