研究概要 |
成果 リーマンゼータ函数の臨界線上における4乗平均につき、本研究代表者に依り完全スペクトル分解式が得られている。現今のゼータ函数論において最も深い結果の一つとされている。在来の手段では解明不可能とされた様々な新しい知見がこれに依ってもたらされつつある。 その証明であるが、Kloosterman和のスペクトル理論を経由して得られている。しかし、結論の展開式にはどこにもKloosterman和の形跡は残されていない。Kloosterman和は単に中間の介在物として作用しているのにすぎないのか?これは、近年、本研究代表者を中心にした研究グループにて基本問題とされて来たものである。 本研究の成果の一つとして、間題の解決を報告できる。リーマンゼータ函数の4乗平均はSL(2,R)上の保型函数のなすHilbert空間にて得られる保型表現の世界に直接に埋め込むことが出来るのである。従ってKloostermann和の使用を避けることが出来る。この事実は、リーマンゼータ函数を見る手段に根本的な変化をもたらす。つまり、整数の世界にて定義されたリーマンゼータ函数の真の姿は実は線形Lie群に密接に関係するものとしてより明確にとらえることが出来ることとなった。ゼータ函数全体への視点の変更を考えさせる結果と見る。成果はR.W.Bruggemanとの共同論文として発表される運びである("A new approach to the spectral theory of the fourth moment of the Riemann zeta-function" J.Reine Angew.,Math.,in print)。また、その発展型は本年に予定されている、Cambridge大学Isaac Newton InstituteにおけるRMNTセミナー、Nottingham大学整数論セミナー、Mathematisches Forschungsinstitut Oberwolfach ZETA/2004にて発表討議されることが決定している。概要は"A note on the mean value of the zeta and L-functions.XIV"として平成16年4月12日に日本学士院紀要に紹介された(紹介者:森重文学士院会員)。
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