研究概要 |
平成15年度の前半は,形式的Knizhnik-Zamoldchikov方程式の解の接続問題をシャッフル代数の構造定理を用いることにより精密に解析し,それが多量高次対数関数(multipl polylogarithm)のオイラー型接続公式とLanden型接続公式を合わせたものと等価であることを示すことに成功した.これを高次対数関数(polylogarithm)の場合に限ったものをメリン変換したものから,多量ゼータ値の関係式であるところの「和公式」が得られる.この結果は"Proceeding of the conference on Zeta Functions, Topology, Quantum Physics"に発表の予定である.また,もうじき出版される論文"Relations for Multiple Zeta Values and Mellin Transforms of Multiple Polylogarithms"では,「和公式」の拡張に相当する「大野関係式」の自然な母関数を逆メリン変換したものからLanden型接続公式が得られることが示されている.このようやり方で多重対数関数のみたす接続公式,あるいは,関数方程式から多重ゼータ値のみたす関係式がすべて得られることが期待される. 次に平成15年度の後半であるが,コンピュータ言語理論の一種である,オートマトン理論を応用して,多重ゼータ値の関係式を得る,という研究を行った.もともとのアイデアはフランスのWaldschmidt教授によるものであるが,我々の研究によって,このアイデアの適用範囲が飛躍的に拡がった.
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