研究概要 |
この研究では、2つの新しい結果を得た。 ひとつは、スカラー曲率一定なコンパクト超曲面の非存在定理である。 定理1 ユークリッド空間には一般化した回転面であって、コンパクト、スカラー曲率一定なものは存在しない。 研究以前には、回転させる母線についてある種の制限をつけた形でこの定理を証明できていたが、その制限を除いたすっきりとした形で証明できることがわかった。平均曲率が一定な一般化したコンパクト回転超曲面がたくさん存在することから、平均曲率とスカラー曲率の違いを表す定理といえる。 二つめに、一般化された回転超曲面であって、完備、非コンパクト、スカラー曲率が正で一定な新しい例が無限個構成できることを証明した.ユークリッド空間の完備で非コンパクトな超曲面でスカラー曲率が正で一定なものは、球面、円柱、回転面しか現在までに知られていない。それら以外にも無限個存在することがわかった点が重要である。 以前の研究では定性的な議論を用いた点が不満なところであったが、それを定量的な議論であいまいさを無くした.証明にはスカラー曲率一定を表す常微分方程式系を、可積分な常微分方程式系と比較する方法を用いる。その結果、解曲線の形を詳しく調べることができた。2階の常微分方程式には一般に比較定理は知られていないが、うまい変数を選ぶことと方程式の特徴を利用して1階の常微分方程式の比較定理に持ち込むところがキーポイントである。 定理2 0<a<1をみたす任意のaに対して、xy平面の第一象限に含まれる曲線であってx=1,y=a,dy/dx=0の初期条件をみたす無限に伸びた曲線があり、それを0(3)X0(3)で回転させると6次元ユークリッド空間に、完備、非コンパクトな超曲面であってスカラー曲率=1となるものが得られる。
|