研究概要 |
本研究は,四元数ケーラー多様体特に四元数射影空間HP^nの全複素部分多様体を対象としている.(M^^〜^<4n>,Q^^〜,g^^〜)を四元数ケーラー多様体,即ち,g^^〜をM^^〜上のリーマン計量,Q^^〜⊂End(TM^^〜)をリーマン接続に関して平行な四元数ケーラー構造とする.(M^^〜,Q^^〜,g^^〜)の部分多様体M^<2m>が,全複素部分多様体であるとは,Q^^〜|_Mの大域的な切断I^^〜が存在して(1)I^^〜^2=-Id,(2)I^^〜TM=TM,(3)<I^^〜,K>=0をみたす任意のK∈Q^^〜|_MについてKTM⊥TMを満たすときをいう.本研究代表者塚田は四元数射影空間HP^nの第2基本形式が平行となる全複素部分多様体を分類している. Z^^〜={J^^〜∈Q^^〜|J^^〜^2=-Id}はM^^〜上のS^2-束で,(M^^〜,Q^^〜,g^^〜)のツイスター空間と呼ばれている.Z^^〜は自然に複素多様体の構造,さらに正則接触構造をもつ. 本研究において次のようなことが明らかにされた. 1.HP^nの第2基本形式が平行となる2n次元全複素部分多様体の特徴付け. アインシュタイン条件あるいは局所可約性の仮定のもとで,これら平行部分多様体に局所合同となることを示すことができた.これらの研究成果はロンドン数学会の雑誌に発表される予定である. 2.全複素部分多様体のツイスター空間への自然なリフトを構成しその性質を解明した. M^^〜の全複素部分多様体Mに対して,I^^〜(M)=LはZ^^〜の複素ルジャンドル部分多様体となり,またその逆も成立するという興味深い関係があることはよく知られている.我々は別のリフトを考えた.即ち,直交直和分解Q^^〜|_M=RI^^〜+Qに対してZ=Z^^〜|_M∩Qとおく.このときZはZ^^〜の全実極小部分多様体になるという興味深い性質を見出した.この結果は研究分担者江尻との共著の論文としてまとめられ,現在学術雑誌に投稿中である.
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