研究概要 |
保倉理美は,揖元(早稲田大学理工学部教授)と共同で行ってきた研究をまとめることを中心に,次の研究を行った. 1.古典型の複素単純リー代数について,その接触型階数別分解の階数1の部分空間の軌道分解の詳細な記述を行った.特に,B型とD型について.その結果をまとめた.これらは,スタンバーグとシュプリンガーによる冪零軌道分解の一つの拡張になっている. 2.2つの半単純でない簡約リー群について,リー代数が同型であるが,リー群としては同型でない場合に,それを示すための簡単な証明法を発見した(11.雑誌論文の項参照) 3.フロイデンタール多様体の射影代数幾何的性質,複素単純リー代数,山口清-浅野洋(神奈川大学工学部教授)の両教授によるシンプレクテイック三項系の公理系,の3者の間の内的関係について研究した.特に,浅野洋教授による結果の一部:複素単純リー代数からシンプレックティック三項系を構成する際に公理(S3)が成立することについて,簡単な証明法を発見した.これらの研究から導かれる射影代数幾何的結果の口頭発表は,名古屋大学大学院多元数理科学研究科における第4回冪零軌道と表現論研究集会(2004/2/21-24)において,揖元教授により行われた. 4.結果2について,横田一郎先生(信州大学名誉教授)主宰の土曜セミナー(信州大学)で発表した.フロイデンタールが研究したのは,複素単純リー代数が例外E_8型の場合であり,対応するフロイデンタール多様体が例外型複素単純リー群E_7^Cの最小次元射影軌道の場合であるが,その具体的実現に関し,横田一郎先生と意見交換を行った.
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