研究概要 |
Cappell--Shanesonのホモロジー(同値写像を得るための)手術理論の改良と,有限群Gにおける同変バージョンの構築とその応用が本研究の目的である.ここでの改良は,多様体の次元がn=2kの場合に,写像f:X→Yがk-連結(特に基本群の間の同型写像を誘導する)とは限らない状況で手術障害類を構成すること意味する.これについては,XとYのそれぞれの普遍被覆空間X'→XとY'→Y,およびY'→Yからfによって誘導される被覆X''→Xを比較検討し,fがkより低い次元ではホモロジーの同型写像を誘導する場合に,手術障害核となる加群の上の自己交差形式を研究し,これにより不動点集合の次元が半分未満の同変多様体における同変ホモロジー手術理論構築の基盤を得ることができた. また,手術障害類の消滅を示すには,Dress型の誘導理論が必要である.Mackey函手やBurnside環について,DressのAnnuls of Mathematicsに掲載された理論を初等的に理解できる理論に再構築し,彼の難解な証明を極めて簡単な証明で取り替えることに成功した.この成果は専門誌K-Theoryに掲載された. さらに,この同変ホモロジー手術理論を応用し,球面上のエキゾチック作用の研究を行うため,5次の交代群A_5やSL(2,5)の実規約表現における部分群による不動点集合の次元の計算を行った.この結果,A_5の球面上の作用において,不動点が唯3点からなる球面の最低次元は12であろうという予想を持つに至った.
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