研究分担者 |
中内 伸光 山口大学, 理学部, 助教授 (50180237)
小宮 克弘 山口大学, 理学部, 教授 (00034744)
内藤 博夫 山口大学, 理学部, 教授 (10127772)
牧野 哲 山口大学, 工学部, 教授 (00131376)
北本 卓也 山口大学, 教育学部, 助教授 (30241780)
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研究概要 |
多様体M上に平坦接続DとRiemann計量gが与えられて,gがDに関するHesse形式で表せるとき,その組(D,g)をHesse構造といい,Hesse構造が与えられた多様体MをHesse多様体という.Hesse幾何学とはHesse多様体に関する幾何学のことである.Hesse幾何学は情報幾何学,アファイン微分幾何学,Kaehler幾何学等と密接に関連する.甘利と長岡は確率分布族が双対接続という微分幾何学的構造を本来的に備えていることを発見し,数理情報をこの双対接続の見地から研究するべく情報幾何学を提唱した.双対接続が平坦な場合がHesse構造で,正規分布族や多項分布族など多くの重要な確率分布族が双対平坦接続,すなわちHesse構造を有していることが知られている.また双対接続の概念はアファイン微分幾何学においても非退化アファイン超曲面はめ込みとその余法線はめ込みの組を考えることにより得られていた.更にはHesse多様体の接ベクトル束がKaehler多様体になることから,Hesse幾何学はKaehler幾何学とも親戚関係にある.本研究ではHesse幾何学をこれら3つの幾何学との関連を踏まえながら総合的に研究し以下の結果を得た. 1.情報幾何学の方法を用いて新しいHesse計量を構成し,逆に微分幾何学的手法を用いて新しい確率分布族を構成した. 2.Hesse構造のポテンシャルの等位曲面のアファイン微分幾何学を展開し,勾配写像のラプラシアンを考察することにより,アファインBernstein問題の類似が解決した. 3.Kaehler幾何学との関連でいえば,Kaehler幾何学における消滅定理や双対定理に類似する結果がHesse幾何学でも成り立つことが示された. 4.Hesse構造の自然な拡張であるCodazzi構造が定義できるが,これが定曲率で等質ならばそれは1次元高い等質Hesse構造から導かれることが分った. これらの諸結果は"Geometry of Hessian structures"として,World Scientific社より出版予定である.
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