研究概要 |
距離空間とCW複体を含む一般距離空間のクラスで,もっとも重要なものがM_3-空間のクラスであり,それに関する最も有名な未解決問題は次のものである。 問題1[Ceder,1961].M_3-空間は,M_1-空間となるか? 一方,次元論の立場からのM_3-空間に関する古典的問題として,次が未解決である。 問題2.M_3-空間Xに対して,Ind X=dim Xが成り立つか? さらに、M_3-空間をファクターにもつ積空間に関する問題では,次も未解決である。 問題3.[Zhong,1992].M_3-空間Xに対して,正規な積空間X×Yは可算パラコンパクトか? M_3-空間の被覆性を研究していくことは,上記3つの問題を解く上できわめて意義あると思われる。最近,パラコンパクト空間の類似かつ強い被覆性として,ベースパラコンパクト空間という概念が導入された。そして,M_3-空間との関連で,次の自然な問題が提起された。 問題4[Porter,2003].M_3-空間(またはパラコンパクト空間)は,ベースパラコンパクトか? そこで,平成15年度はベースパラコンパクト性に関する研究を中心において,M_3-空間に関する問題を考えてきた。その結果、積空間の被覆性としてベースパラコンパクトを考えた場合,通常のパラコンパクト性とほとんど同じ性質を持つことが研究代表者により証明された。その証明は偶然にも,20年以上前に研究代表者自身が提出した積空間のrectangularという被覆性に関する問題の解決にもなっていた。今後は,ベースパラコンパクト性の方向から問題1および問題3を考えていく。酒井政美はsiguma-積空間,関数空間,自由群の研究などと、M_3-空間の周辺で幅広い活躍を見せた。家本宣幸は順序数による積空間の研究で,相変わらず他者を寄せ付けないほどの研究結果を得ている。特に,順序数の積空間のゼロ次元性に関する結果は,やがて問題2とも結びついてくるように思われる。
|