研究概要 |
距離空間とCW複体を含む一般距離空間のクラスで,もっとも重要なものがM_3-空間のクラスであり、それに関する最も有名な未解決問題は次のものである。 問題[Ceder,1961].M_3-空間は,M_1-空間となるか? 上記の問題は、かなり難しく残念ながらいまだに解決には至っていない。しかし、この問題においてM_3-空間の被覆性の研究がその解決に不可欠であるとの認識から研究を進めていくうちに、一般の位相積空間の被覆性の研究そのものが思わぬ方向へと発展してきた。平成16年度は、有限積空間における正規被覆の研究を思い立ち、長方形の細分によるその特徴付けに成功した。正規被覆自体は、位相空間論の極めて基本的な概念であるから、それに関する研究結果がさらに発展しないわけは無いのであるとの新たな認識に至った。それ故むしろ必然的に、平成17年度は上記の正規被覆の研究を引き継いでいくことにした。実際にその研究は家本宣幸の順序数による積空間の研究と結びつき、特殊な積空間の世界であるだけに、そこでの奇妙かつ予想外の結果が成り立つことを証明した。さらにこの有限積空間の正規被覆の研究は、そのまま無限積空間の正規被覆の研究に発展していくことまで分かってきた。それは証明の手法は全く異なるものの、最後の結果は奇妙なくらい同じ形で得られるという、これも全く予想外の研究結果であった。さらに、それは長年にわたって研究代表者が研究してきたΣ-積空間の研究にも応用することが可能で、実際にΣ-積空間の昔からの未解決問題をひとつ完全に解決することが出来た。目標の問題解決には至らなかったが、研究結果自体は当初の予想を遥かに上回るほど豊饒なものとなった。それは、まだまだ発展していく可能性を秘めてさえいる。
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