研究課題/領域番号 |
15540103
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
竹田 雅好 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30179650)
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研究分担者 |
中野 史彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10291246)
堤 誉志雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10180027)
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キーワード | ファインマン-カッツの公式 / ディリクレ形式 / 対称マルコフ過程 / 大偏差原理 / 対称安定過程 / 分枝対称マルコフ過程 |
研究概要 |
ファインマン-カッツ汎関数の可積分性の問題はgaugeabilityの問題と呼ばれ、シュレディンガー作用素に対する劣臨界性、すなわち、正値グリーン関数の存在や、正値解の存在などと関連する問題で、ポテンシャルが無い場合にはマルコフ過程の再帰性、非再帰性の判断にあたる。前年度までに、加藤クラスの測度ポテンシャルに対してファインマン-カッツ汎関数が可積分であるための必要十分条件を得たが、本年度はその応用として対称安定過程のスペクトル関数の微分可能性について考察し、臨界性の判定条件、詳しくは零臨界的であるかが、スペクトル関数の微分可能性と深く関連することが分かった。そして、次元が対称安定過程の指数の2倍以下であるときには、零臨界的になることを示しスペクトル関数の微分可能性を証明した。この結果は、一または二次元ブラウン運動の場合に得られた結果の拡張になっている。 さらにファインマン-カッツ半群が、元の対称安定過程と同等な超縮小性を持つためのポテンシャルに対する必要十分条件を得た。この証明のため、対称マルコフ過程からドリフト変換によって構成されるマルコフ過程のディリクレ形式を特定することに成功した。また、応用範囲を分枝対称マルコフ過程の再帰性、非再帰性の判定に広げ、その第一歩として、分枝対称安定過程が容量正の閉集合に到達する粒子数の期待値について調べ、それが有限となるための十分条件を得た。いずれの結果も、測度ないしポテンシャルの小ささを計る量として、以前示したファインマン-カッツ汎関数が可積分であるための必要十分条件が重要な役割を果たす。
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