研究概要 |
【1】F.Oger氏はユークリッド平面を覆うタイリングという幾何的対象をモデル理論の枠組みの中で表現する手法を提案した.彼はPenrose tilingなどのタイリングに対応するモデル理論的対象が局所同型性(local isomorphism property)と一様局所有限性(uniform local finiteness)を持つことを示した.同時にこれらの性質とさらにrigidであることを用い,Penrose tilingが連続濃度存在することに対する新しい証明を与えた. 本研究においては,氏の研究をさらに一般化することをめざした.特に,局所同型性と一様局所有限性に対応するモデル理論的な同値条件を模索し,次の結果を得た.ただし,言語は有限とする. 定理1.一様局所有限性および局所同型性はelementaryな性質である. 定理2.構造Mに関する次の2条件は同値である. (1)Mが一様局所有限性である;(2)Mの任意の点aに対して,aの属する連結成分はaの代数閉包に含まれる. 定理3.構造Mに関する次の2条件は同値である. (1)Mが局所同型性を持つ;(2)Mの任意の(無限)連結成分は基本部分構造になる. したがって,Mが一様局所有限性と局所同型性を持てば,各連結成分はその中の一点で生成される代数閉包に一致して,さらにそれは基本部分構造(elementary substructure)となる. 【2】PA(ペアノ公理)のモデルに関して,一階定義可能性よりも表現力の強い概念としてimplicitly definableという概念を定義した.一般にPAの超準モデルでは,そのω部分は一階定義可能にならない.さらに,通常の議論で出てくる超準モデルにおいては,ω部分はimplicitly definableにもならない.しかし,implicit definableになるような非可算モデルMが存在することを示した.この結果は,S.Shelah氏との共同研究である.
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