研究課題/領域番号 |
15540106
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
種村 秀紀 千葉大学, 理学部, 助教授 (40217162)
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研究分担者 |
今野 紀雄 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (80205575)
渚 勝 千葉大学, 理学部, 教授 (50189172)
中神 潤一 千葉大学, 理学部, 教授 (30092076)
香取 真理 中央大学, 理工学部, 教授 (60202016)
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キーワード | vicious walkers / random matrix / determinantal random point process / Airy process / Brownian meander / non-colliding process |
研究概要 |
非交叉条件のもとでのN本の単純ランダムウォークは、vicious walkersとよばれる確率過程である。vicious walkersに対する中心極限定理を考えると、非交叉条件を与える時間をスケーリングに対してどの様に与えるかにより、得られる拡散過程は時間的に斉次的である場合と非斉次的である場合にわかれる。斉次的拡散過程は、Wyle chamber内の吸収壁ブラウン運動のH変換であり、Dyson Brownian motionと呼ばれているものである。一方、非斉次拡散過程は、Brownian meanderとよばれる一次元拡散過程の多次元への拡張になっている(Stoch.Stoch.Rep.Vol.75)。この拡散過程はブラウン運動とブラウン橋を成分とする行列値過程の固有値と一致しており、Harish-Chandra公式と密接な関係があることを導いた(Elect.Comm.Probab.Vol.8)。 香取氏、永尾氏との共同研究により、粒子数Nを無限に大きくしていくときの漸近挙動を調べた。位置x(N)で時刻t(N)から観察した時間発展は斉次拡散過程の場合は、x(N)=0,t(N)=Nでは無限次元Dyson modelであり、X(N)がNの2/3乗、t(N)がNの3乗根では、Airy過程であることが示された。そして非斉次拡散過程の場合にも極限過程を決定することができた。この極限過程は時刻0ではGOE型確率分布であり、時刻を負の方向に小さくしていくとGUE型確率分布に転移していく興味深い無限粒子系である。(Phys.Lett.A307,Adv.Stud.Pure Math.Vol.39)。
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