研究分担者 |
種村 秀紀 千葉大学, 理学部, 助教授 (40217162)
井口 達雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (20294879)
村田 實 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50087079)
杉浦 誠 琉球大学, 理学部, 助教授 (70252228)
半田 賢司 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (10238214)
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研究概要 |
非勾配系の流体力学極限を研究する目的で,2つの保存量を持ちスピン値が有界でない非勾配系モデルとしてzero-range-exclusion過程を導入した.このモデルでは,流体力学極限において2元の非線形拡散方程式系が現れると予想される.その証明に向けてまず有限系のスペクトルの飛びを調べ,物理的空間のサイズ$L$を大きくするとき,スペクトルの飛びの大きさが高々$0(L^{-2})$のオーダーであることを示した(Y.Nagahata and K.Uchiyama : Spectral gap for zero-range-exclusion dynamics, to appear in Osaka Jour.Math. (2004)).このオーダーは,適正なものであるが,そこに現れる定数は保存量に依存し,非勾配系のモデルを扱う上での従来知られている一様評価より弱い.しかし,このモデルの本質的問題はスピンのモーメントの一様評価を得ることの困難さにあり,スペクトルの飛びの評価の一様性は,少なくとも拡散係数行列の決定には本質的ではないことを明らかにした.また平衡系であればモーメントの一様評価は比較的容易に得られ,平衡系の揺動の収束を示すには,上に述べたスペクトルの飛びの非一様評価で十分であることを確かめた.さらに揺動の収束から,平衡系でのスピン値の時空相関係数行列と拡散係数行列との関係が導出できることを明らかにし,特に,楕円型のスケール変換の下で時空変数を同時に大きくした時,時空相関係数行列がこの拡散係数行列を係数とする線形拡散方程式系の基本解に収束することを証明した(K.Uchiyama : Zero-range-exclusion particle Systems. to appear in ASPM (2004)).
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