研究概要 |
本研究では,従来の直交多項式および連分数展開の理論の拡張を目指している.この目標を実現するために,本年度は,昨年までに得られた結果を下に,離散可積分系と直交多項式について3項間漸化式を有する双直交関数系の理論と戸田型の離散方程式との関係を中心に議論した.ここではそのいくつかの例を挙げる. ・一般化固有値問題に関連したR1型およびR2型離散可積分系に関する研究 ここでは,昨年得られたR2型離散可積分系の双線形方程式に対する考察を深めることにより,不等間隔離散戸田方程式や相対論的離散戸田方程式を含む「戸田型格子」との直接的な関係が明らかになり,それら方程式の間をつなぐベックルンド変換を見いだした。 ・補間有理関数に付随した離散可積分系に関する研究 Frobenius-Stickelbergerらによる先駆的な補間有理関数に対する研究と,その後のThileらによるPade近似の理論に付随している離散可積分系を明らかにし,昨年度までに得られていた予備的結果を発展させた.また,この離散系の双線形方程式を調べることにより,離散KP方程式と2次元離散戸田方程式との関係も明らかになった.さらに,Lotka-Volterra方程式の一般化とイプシロンアルゴリズムに表れる漸化式の一般化も見いだすことに成功し,それら全てに対し,半無限格子上の行列式解を与えた. ・不等間隔離散戸田方程式に関する研究 R1およびR2型格子の研究において見いだされた双線形方程式を調べることにより,不等間隔戸田方程式に対しても新しい知見を得ることができた.ここでは,離散KP方程式および2次元離散戸田方程式のダルブー変換を考えることで不等間隔戸田方程式のダルブー変換を自然に導くことができるという結果が得られた.
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