研究概要 |
強制法の理論とその実数の集合との関係に重点をおき、特に、連続体の基数不変量と記述集合論との関係に焦点を絞って研究を行った。 (1)Shattered iterations.本研究者によって開発された「shattered iteration」という技法をさらに深く発展させた。特に、反復の枠組みにHechler強制法を用いることによって、cov(Μ)=b=N_2とnon(Μ)=N_3が同時に成り立つことの無矛盾性を得た。 (2)Mixed support constructions.本研究では、◇を満たすモデル上mixed supportを用いてコーエン実数をκ個付け加えることによって、可算半順序に対するMartinの公理と任意の定常集合Sに対して〓_Sという組合せ論的原理が成り立つことの無矛盾性を証明し、渕野、ShelahとSoukupの問題を解決した。 (3)Cardinal invariants related to the rationals.古典的基数不変量ζに対応するDense(Q)/nwd(Q)の基数不変量をζ_Qで表すとき、S_Q【less than or equal】min{add(Μ), s}を証明した。また、η_Q<s_Qとη<η_Qそれぞれの無矛盾性を示すことによって、Balcar、HernandezとHrusakの問題を解いた。 (4)Cardinal invariants related to partitions of ω.自然数ωの分割(ω)を概細分で順序づけるとき、古典的基数不変量ζに対応する(ω)の基数不変量をζ_cで表すと、ζ=p,η,s, tに対して、ζ=ζ_cを得た。また、α_c=α_sを証明し、さらに、t_c=pを示した。 (5)Forcing indestructibility of mad families. HrusakとKurilicの研究を継続して、様々な強制法Pに対して、mad familiesのP-indestructibilityの組合せ論的特徴づけを得た。また、Martinの公理の断片を仮定するとき、いくつかの強制法の対(P, Q)に対して、P-indestructibleとQ-destructibleとなるmad familyを構成した。 (6)Silver measurability. Silver強制法と密接に関連している測度概念であるドーナツ性質について研究を行った。特に、全てのΔ^1_2集合がドーナツ性質を持つと全てのΣ^1_2集合がドーナツ性質を持つという命題が構成可能宇宙L上の超越命題として特徴づけられた。
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