研究概要 |
本研究の目的は、判別手法の理論的研究,及びその実データへの応用にある. まず,独立なデータの判別手法について,学習理論のうち分布型を仮定しない判別手法であるサポートベクターマシン(SVM)やアダブーストの研究をすすめた.その理論的背景の理解のもとで,遺伝子のマイクロアレイデータから癌の種類を判別する方法をSVMとアダブーストに基づいて提案した.本手法は2003年バイオインフォマティックスコンテストの優秀賞を得た. 一方空間的に従属する画素からなる画像の画素それぞれ,あるいは画像そのものを分類ことを考える.この場合特徴空間での判別手法に空間的な位置関係(幾何情報)を追加することにより判別精度を向上できることが知られている.従来の手法は特徴空間,幾何空間ともに統計モデルを適応するものであったが,本研究では,特徴空間は学習理論による判別手法,幾何空間については統計モデルを用いて両者の結果を融合する手法を研究する.Nishii(2003)は空間データの既存の判別結果と統計手法の融合について提案した手法である.田中・西井(2003)はマルコフ確率場を用いて森林面積比率を人口と土地の起伏量で説明した空間データの回帰分析を考察した. 現在は,学習理論で判別したときの各標本の判別信頼度にあたる事後確率の導入について研究している.またアダブーストでは空間情報に基づく弱判別機の導入と実データでの検証について成果を得つつある.また学習理論による文字認識や統計手法による人間の顔の認識についても共同研究を行っている.
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