研究概要 |
凝縮型階層的分類法はクラスター分析の中でも最も良く使われる一連の手法の総称である。凝縮型階層的分類法による分類結果は樹形図で表すことができ、直感的で分かりやすい解釈が可能であるという特徴を持っている。一方、一連の手法といいながらも、その性質は全くと言っていいほど異なり、同一のデータを分析しても、選択する手法により分類結果が大きく異なることが良くある。ここで問題となるのが手法の選択であるが、現在、この手法の選択に関して明確な基準は与えられていない。実際、すべてのデータや分析意図にふさわしい手法が存在するわけではなく、分析者の主観によって手法が選択されている場合も間々見られる。我々は、データ構造が対称な場合について「空間のゆがみ」、「結合距離の単調性」、「分類結果の構造」に着目した指標を提案し、クラスター分析の結果の多角的評価を行ってきた。 本年度はデータ構造が非対称な場合について凝縮型階層的分類法の更新式と単調性について研究を行った。その成果は、A.Takeuchi, H.Yadohisa and K.Inada "Monotonicity of an asymmetric agglomerative hierarchical clustering algorithm" Abstracts of The 13th International Meeting of the Psychometric Society(IMPS-2003)、竹内光悦・宿久洋・稲田浩一"非対称凝縮型階層的分類法の更新式と単調性について"日本計算機統計学会第17回大会論文集,143-144、竹内光悦・宿久洋・稲田浩一"非対称凝縮型階層的クラスタリング法の単調性について"第2回西東京統計研究会予稿集,23-24として発表している。また、この研究と関連して、関数データのクラスタリング法に関する新たな手法を提案した。その成果は、S.Tokushige, K.Inada and H.Yadohisa "Dissimilarity and related methods for functional data" Journal of the Japanese Society of Computational Statistics,5,2,319-326(2003)において発表している。
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