研究概要 |
1.ユークリッド空間内のm+2個以上の点の集合Xに対して、Xの(m+1)点集合にその凸包のm次元体積を対応させる写像をμとする。μは汎距離(hemi-metric)で、通常の三角不等式を一般化したm次元の単体不等式を満たす。各mについて、この不等式の余裕の限界値(super-bound)s(m)が定義される。限界値s(m)は点集合Xの‘形状'にある程度関係がある。実際、|X|≧5のとき、同値な関係"s(1)=2⇔s(2)=3⇔[Xは正則単体の頂点集合]"が成立することを証明した。また、3次元の正多面体の頂点集合についてs(m)の値を求めた。n次元のクロスポリトープの場合、n≧m≧3なら常にs(m)=3で、n次元立方体の場合はm>0のとき、s(m)→1(n→∞)となることがわかった。(M.Deza, M.Dutourとの共同研究) 2.2つの点集合は、一方にいくつかの反転を行って他方に相似な点集合に変換できるとき、反転同値であるという。すべての3点集合は反転同値である。4点A,B,C,Dに対して、[A,B,C,D]:=(AB/BC)/(AD/DC)をメビウス不変量という。メビウス不変量は反転で不変である。n≧4のとき、2つのn点集合は、ある全単射の下で、対応するメビウス不変量の値がすべて等しくなる場合に限り反転同値となることがわかった。n点集合上には6×(n choose 4)個の異なるメビウス不変量が存在するが、これらはずっと少ない個数のメビウス不変量から、積や逆数を取ることで‘生成'される。これについて、n≧4のとき、n点集合上のすべてのメビウス不変量を生成するのに必要なメビウス不変量の個数の最小値はn(n-3)/2であることを証明した。これから、例えば、任意の4点集合はある平行四辺形の頂点集合に反転同値となる。
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