研究課題
平成17年度の主要な結果は、量子化されたOSp(1/2)およびそれから得られる拡張されたボゾン代数(GBA)の表現論とbasic hypergeometric functionの関連を明らかにしたことである。Basic hypergeometric functionは超幾何関数を一般化したもので、これからさまざまな特殊関数が得られる。それらの特殊関数は重みつきの直交多項式系をなし、ある種の差分方程式を満足する。今年度の研究により、量子化されたOSp(1/2)およびGBAの表現論では、これまで知られていたものとは異なる特殊関数が自然と現れることが示された。まず取り組んだことは、量子化されたOSp(1/2)およびGBAの表現を具体的に作ることである。そのために普遍T行列と呼ばれるものを構成した。これを用いて量子化されたOSp(1/2)については有限次元の、GBAについては無限次元の既約表現を得ることができた。これらの表現の性質についても研究を行い、表現行列の満たす直交関係式や漸化式などを導いた。表現の具体系が知れたことにより、basic hypergeometric functionとの関連を調べることができるようになった。量子化されたOSp(1/2)の場合はlittle Q-Jacobi多項式と似た形の多項式を用いて表現行列を書くことができること、この多項式は古典極限では存在しないものであることが明らかになった。また、little Q-Jacobi多項式の変数Qと量子化されたOSp(1/2)の変形変数qの間にはQ=-qという関係がなければならない。量子化されたOSp(1/2)の表現に現れる多項式の直交性などについてはまだ分かっておらず、今後の研究課題である。一方、GBAの場合の表現行列はlittle Q-Jacobi多項式を用いて書き表すことができることが示された。さらに、テンソル積表現の既約表現への分解を考えるとQ-Hahn多項式が現れることも示せた。GBAの場合もやはり多項式の変数QとGBAの変形変数qの間にはQ=-qという関係がなければならない。従来知られていた量子群の表現と直交多項式の関係ではQ=qであり、Q=-qとなるのはOSp(1/2)とGBAに特徴的なことである。また、通常のボゾン代数の表現論はHermite多項式やLaguerre多項式と関連しており、JacobiやHahnが現れるのもGBAの特徴である。このことはGBAは本来ボゾンというよりもOSp(1/2)と関係が深く、OSp(1/2)の表現はSL(2)の表現とよく似た性質を持つことに起因していると考えられる。
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Journal of Mathematical Physics 46
ページ: 103510(25)
Journal of Physics A : Mathematical and General 38
ページ: 9007-9018
Journal of Pure and Applied Algebra (印刷中)