「多次元複雑系のモデルである、生成分割を保持する非双曲型・非可逆離散写像に対し、初期値に関する"劣指数的鋭敏性"を顕著に反映するポテンシャルのクラスを設定し、基本測度の選択基準をポテンシャルに関する条件として確立する」という本研究の目的において、可算マルコフ分割がSofic条件を満たすという条件のもとで、ある種の変分原理を介在し、一般化されたindifferent periodic pointを持つ、ポテンシャルに関する弱ギブス測度の存在条件として捕らえる事が可能となった。また劣指数的鋭敏性が、弱ギブス測度の古典的な意味でのギブス性の崩壊を引き起こし、またある条件のもとでこの弱ギブス測度が、最近統計力学において新しい展開として注目されている、Dobrushinの意味での弱ギブス状態である事が確認でき、その結果を論文"Weak Gibbs measures for Intermittent systems and Weakly Gibbsian States in Statistical Mechanics"(Commun.Math.Physics)に発表する事ができた。また、平成15年度(8月25日〜9月9日)ドイツ出張し、Gottingen大学教授、M.Denker博士を訪問しレビューを受け情報を交換した事により、可算状態の複雑系モデルとして、Partially defined iterated functional system及びそれらの極限集合として現われる一般化されたSelf-Similar setの定式化のアイデアを得る事ができた。
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