研究概要 |
今年度はコンピュータで画像を扱う色々な手段について研究し,合わせてその成果を教育に活かすための教材を開発した. コンピュータ・グラフィック,所謂CGの歴史は意外に古く,現在のuniversal Turing machineの原理に基づくstored program computerをvon Neumannが実用化した年代が1940年代の終わり頃であるのに対し,'60年にはBoeing社でcockpitの設計に計算機を使用したのがCG初めとされている.その後,CGの分野はCADやcomputer artと適用範囲を広げながら発展してきた.構造化プログラム言語であるPascalが登場した'70年頃にはCGでは基本的な描画のためのアルゴリズムは導入されていたが,CGは一般には特殊な分野であった.'85年頃に計算機のユーザ・インターフェースにGUI(graphical user interface)が実用化され,'90年にWWW(world wide web)が登場してからはCGは急速に一般の関心を引く所となったが,一方で,GUIがoperating system依存で開発されたために標準化の問題を引き起こしていた.即ち,CGのそれまでの発展にも係わらず,その発展は特殊な過程であったということになる.このことはCGの教育にとっては,重要な障害となっている. 現在,グラフィックス用のAPI(application programming interface)は,OpenGL, Java, VRML(virtual reality modeling language), X3D, SVG,などが用途に応じて存在していて,プログラミングの原理も異なり,個別の過程で教育しなければならない. 今年度の研究では,CGの基本にある数学の部分の教材を作成した.これはCGにおいて,線形代数や微分積分の発展部分が実用になっていることを認識する教育を実践することを目標としている.
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