研究概要 |
本研究は禁止部分グラフとグラフの因子の関係を明らかにすることを目的とした。2年間の研究期間のうち平成15年度を1個のグラフを禁止した場合、平成16年度を2個以上のグラフを禁止した場合の研究に当て、それぞれについて大きな成果を挙げることができた。その概要を以下に挙げる。 1.従来「任意の連結な偶位数のK_<1,3>グラフは1-因子を持つ」というSumnerの定理が知られていたが、本研究により「連結な偶位数のH-フリーグラフが常に1-因子を持つならばHは本質的にK_<1,3>である」ということが示された。この結果によりSumnerの定理に類似した禁止部分グラフ型の定理は(1個のグラフのみを禁止する限り)Sumnerの定理に現れたK_<1,3>しか存在しないことが判明した。 2.2個のグラフを禁止して「連結な偶位数の{H_1,H_2}-フリーグラフが常に1-因子を持つ」という命題を成立させるH_1,H_2の組を探したところ、H_1,H_2の一方は常に本質的にK_<1,3>となることが判明した。1つ前の結果より、K_<1,3>を禁止すればもう一方のグラフをとは無関係に1-因子の存在は保証される。すなわち、この結果は2個のグラフを禁止することにより1-因子の存在を導こうとすると、1個のグラフを禁止する場合と変化はなく、常に禁止部分グラフの一方は無駄になる、と言っている。 3.3個のグラフを禁止することにより1-因子の存在を導こうとすると、K_<1,3>を含まない禁止部分グラフの3つ組が見つかった。これは3個のグラフを禁止した場合、2個のグラフを禁止した場合と異なり、1個のグラフを禁止した場合と本質的に異なる状況が現れることを意味する。しかも禁止することにより1-因子の存在を導くような禁止部分グラフ3個の組は無数に存在することも判明した。 以上のように、禁止部分グラフと因子の関係は、3個のグラフを禁止するところまで完全に解明することができた。以上のように本研究は大きな成果を収めた。
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