研究概要 |
Turrittin型作用素の中でも比較的単純な作用素(∂^k_<x1>+ax^m_1∂^k_<x2>)の,第2超局所的な解析を試みた。この場合には溝畑型の場合と同様に,第2超局所的なFourier交換の理論に基づく基本解の構成が可能であることがわかった。さらに,この構成はある種の斉次的な低階項が加わった作用素に対しても可能であるが,斉次性が失われた場合には適用できない。また,この構成は積分変換的なものであり,第2マイクロ微分作用素の範疇でのintertwining operatorによる変換にはまだ成功していない。なお,この構成では相空間での函数をある常微分方程式の大域解を用いて作るが,現状では常微分方程式の大域解の増大度に関する結果のみを利用しており,漸近挙動の利用や接続公式の利用までには至っていない。 一方で同じ作用素に対しては,実領域と複素領域の直積型空間における正則パラメータ付きマイクロ函数への作用を考えることができ,この作用素が楕円型となる領域が部分楔型となることも確認できるので,定義函数の意味で基本解を構成することも可能であることがわかった。ただし,この方法は具体的とはいいがたく,今のところこの基本解と上記のFourier変換の理論による基本解との関係はまだ明らかになっていない。さらに,この第2マイクロ函数基本解の古典性,非古典性についてもわからない。一方でこの方法の利点としては,より一般的な作用素への拡張が容易であろうと思われるので,斉次性が失なわれた場合にまず基本解の存在を示すのに応用できるだろうと期待している。
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