研究概要 |
1.完全正則空間上で定義され,Dedekind完備Riesz空間Vに値をとるBorelσ-測度に対して,Vの順序構造を用いて測度の順序弱収束性の概念を導入し,それらσ-測度からなる一様有界なネットが測度の順序弱収束するための同値条件を4つ与えた.一方,σ-測度がとる値の空間VがBanach束の場合には,測度の順序弱収束の概念の他に,Vのノルム構造を用いても測度の弱収束性を定義できるが,V=L^1[0,1]の場合に,ノルム構造を用いて定義された測度の弱収束性に対しては,上で得られた同値条件が成立しないことを示した. 2.完全正則空間S上の実数値有界連続関数全体からなるRiesz空間C(S)からDedekind完備Riesz空間Vへの正値線形作用素が,順序構造から定まるσ-加法性をもつS上のV-値擬Radonσ-測度の積分として表現できるための必要十分条件(緊密性の条件)を発見した.応用として,完全正則空間上で定義されDedekind完備Riesz空間に値をとる2つの擬Radonσ-測度のBorel直積測度の存在性と一意性を示した.さらに,このBorel直積測度を作る演算が測度の順序弱収束に関して同時連続iとなることを示した. 3.一様空間S上で定義され,Dedekind完備Riesz空間Vに値をとるBorelσ-測度からなる一様有界なネットに対して,その測度の順序弱収束性はS上の一様有界かつ同程度一様連続な実数値関数の族に対して一様となることを示した.この定理では,収束先の測度の緊密性が重要な役割を果たすが,Dedekind完備Riesz空間Vが弱σ-分配的な揚合には,完備可分距離空間上のV-値Borelσ-測度は常に緊密となることを,regulator列の制御に関するFremlinの補題を巧妙に用いることにより証明した.
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