研究課題/領域番号 |
15540166
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎解析学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上木 直昌 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (80211069)
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研究分担者 |
森本 芳則 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (30115646)
西和田 公正 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60093291)
立木 秀樹 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (10211377)
小谷 眞一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10025463)
河野 敬雄 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (90028134)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | random Schrodinger作用素 / 確率解析 / 作用素論 / スペクトル / Anderson局在 / 確率場 / 微分方程式 / Wegner評価 |
研究概要 |
本研究の目的はrandomなSchrodinger作用素に関連する問題について多角的に研究することであった。これに関する特に中心的な問題はAnderson遷移の問題である。これに関して本研究ではrandomな磁場をもつSchrodinger作用素のうち電場と磁場のpotentialがGauss型確率場を用いて与えられる1つのまとまったクラスの作用素に対してWegner型評価を与え、これを用いて十分低いエネルギーではAnderson局在が起きることを証明した。このことは特にGauss型のrandom potentialを持つ場合の強い意味での動力学的局在を示したという点で意義がある。証明の際に合金型確率場をpotentialとしてもつ場合だけを扱っていたKloppの確率空間上のベクトル場を用いるWegner型評価の導出法を拡張し、下に有界な作用素のみ扱っていたGerminet-KleinのAnderson局在の理論を下に非有界な作用素に拡張した。他方randomなSchrodinger作用素に関連して古くから活発に研究されている課題に状態密度関数の挙動を調べることがある。その事に関して本研究では磁場が平均0の確率場となっている場合のPauli Hamiltonianの状態密度関数を調べ、その確率場が1つの空間方向に一定になっている基本的な場合に状態密度関数の0の近傍における下限を対数関数を含む形で与えた。この下限はこのPauli Hamiltonianの状態密度関数が急激に0から立ち上がり、従ってPauli Hamiltonianが0に近いエネルギーの状態を沢山もつことを示しており、Lifschitz tailの名で知られる他のrandomなSchrodinger作用素の場合と全く異なる現象が起きることを示している。特に得られた下限は状態密度関数が0でジャンプする場合を除いて今まで知られていたどの場合よりも急激な立ち上がり方をすることを示している。このことを本研究ではAharonov-Casherの理論を厳密に応用することによって示した。
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