研究概要 |
昨年度は、高次元複素エルゴード理論の基礎として2次元複素力学系の代表的なものをとりあげ、力学系のもとでの不変測度の台となる、いわゆるジュリア集合の可視化を試みた。今年度は、これを発展させ、複素2次元空間内のフラクタル集合であるジュリア集合を自由に動かす事を可能とするソフトウエアの開発に成功した。最近のコンピュータの高性能化は目覚ましく、まさに4次元物体の可視化が可能となっており、高次元フラクタル集合の詳細を世界で初めて可視化することに成功した。2006年5月にフランスのセルジーポントワーズ大学において開催された国際研究集会モDisque de Siegel, implosion parabolique et aire des ensemble de Juliaモにおいて、特別セッションとしてコンピュータによるアニメーションモDisque de Siegel chez Henonモを発表した。また、数理解析研究所研究集会「複素力学系とその周辺」において講演モ複素エノン力学系のSiegel円板とSiegel-Reiいnhardt領域モを行いインタラクティブなアニメーションによって、世界初の画像を提示した。残念ながら、高次元図形の映像を直接動かしながら詳細を把握するためのコンピュータグラフィックス機能は、本研究代表者のコンピュータシステムでしか稼働できず、一般への配布のためには、まだ課題が残っている。
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