研究概要 |
1.指数型可解リー群の無限次元既約表現の表現空間における可微分ベクトルの空間の構造について,Metz大学の研究者と共同で昨年度の結果の検討および精密化,さらに関連する問題について考察を進めた.一般にリー環の導来イデアルを含む冪零イデアルnを定めておき,群の各既約表現に対し,Kirillov-Bernat対応により対応する余随伴軌道の点fと,nに適合する,fにおける実polarizationをとり,これからMackey誘導により,表現を等質空間上のL^2関数の空間に実現する.(特別な場合として,nをリー環の冪零根基にとることができる.)このとき,関数の減少度に関して自然な「対称性」をもち,nに付随して定まる「急減少性」をもつ関数から成る空間を調べた.本年度の研究では,この対称性をもつ急減少関数の空間を,元の群を含む大きな群の既約表現の表現空間の可微分ベクトルの空間として埋め込むことが出来るという結果の検討および埋め込む群の具体的な構成法を与えて精密化を行った.さらに,既約表現に付随する非可換フーリエ変換(作用素値フーリエ変換)のうちランク有限の作用素の像となるような部分空間との関係について考察を行った.また,指数型リー群の既約表現の可微分ベクトルの空間について,特別な場合に特徴付けを調べるなど,関連する調和解析・表現の問題について考察を行った.これらの結果については,Metz大学の研究者と共同で,現在最終的なチェックを行っているところである. 2.複素部分リー環から複素解析的誘導表現を構成する問題については,いわゆるBoidol群などの具体例について表現の既約分解に付随する相対不変ベクトルと余随伴軌道の関連などを調べた.
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