研究課題
基盤研究(C)
複素多様体の擬凸性とその上の正則関数の性質、d'問題、dd'問題を研究した。特に具体的な複素多様体の族について、dd'問題を考えると、その可解性は、ある種の力学系によって決定されることを明らかにした。代表者が組織委員、評議委員を務めて、2004年7月に国際基督教大学で開催された「第12回有限・無限複素解析とその応用にかんする国際会議」のプロシーディングの編集者として419ページの報告集を九州大学出版会で平成17年12月に完成させた。世界約15カ国から研究者が集まり、46編の厳選された最新の研究が掲載されこの分野の発展に十分寄与できたと考えている。平成17年度に新しく得られた成果は、群構造をもつ擬凸複素多様体のもっとも典型的な例として、複素ユークリット空間の離散群による商空間で作られるトロイダル群を研究対象とした。多重調和関数という概念は双正則不変であることが知られている。トロイダル群上の多重調和関数全体を明らかにした。トロイダル群上の関数は、関数を係数とするフーリエ展開できることとトロイダル群は実多様体として大域的実座標をもつことが知られているがこの実座標を用いて、実座標の線形結合によって作られる有限次元ベクトル空間で、多重調和関数全体が与えられることを明らかにした。次にトロイダル群上の調和関数を考察した。調和関数という概念は双正則不変性がないことが知られている。したがってある特定の座標系についての調和関数全体を考察した。トロイダル群は大域的正則関数は定数しかなく、多重調和関数も有限次元ベクトル空間になるにも関わらず、調和関数全体は無限次元ベクトル空間となることを明らかにした。非コンパクトなトロイダル群で大域的有理型関数が定数しか存在しない例の3次元の例を構成した。非コンパクト2次元のトロイダル群は、楕円曲線上のファイバー構造をもつことが知られ、常に大域的な非定数有理型関数が存在するのでこの例は、最小次元の例を与える。さらに3次元以上の任意次元のトロイダル群で大域的有理型関数が定数しか存在しない例を与えた。
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