研究概要 |
本研究では、古典的なノルム不等式と幾何学的定数の一般化及び精密化を考察し、それらの不等式及び定数との関係でバナッハ空間Xの幾何学的性質を調べた。特に、ハンナー不等式及びシェーファー定数の精密化・一般化を考察し、これらの不等式及び定数との関係でXの幾何学的性質を特徴づけた。また、バナッハ空間のψ直和の幾何学的性質も調べた。 主要結果は次のように述べられる。 1.ノルム不等式とバナッハ空間の幾何学 バナッハ空間Xに対しハンナー不等式の精密化・一般化を考察し、これらの不等式との関係で一様非四辺形性、P-一様平滑性、q-一様凸性、などの幾何学的性質を特徴づけた。また、強ランダムクラークソン不等式の拡張を考察し、それらの不等式との関係で強タイプpのバナッハ空間を特徴づけた。 2.シェーファー定数の精密化・一般化とバナッハ空間の幾何学 バナッハ空間Xに対しシエーファー定数S(X)の精密化・一般化として新たな幾何学的定数(あるいは関数)φ_x(τ)を導入し、これらの定数(あるいは関数)との関係でXの幾何学的性質を調べた。特に、Xの正規構造係数N(X)がφ_x(τ)で評価される。φ_x(τ)が計算できる具体的なバナッハ空間Xも与えられる。 3.バナッハ空間のψ直和の幾何学的性質 バナッハ空間のψ直和(X_1【symmetry】X_2【symmetry】…【symmetry】X_n)_ψを考察し、一様非四辺形性、一様凸性、B_n-凸性、不動点性、などの幾何学的性質を調べた。空間のこのような性質は、関数ψとバナッハ空間X_1,X_2,…,X_nの性質によって記述される。
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