研究概要 |
本研究の目的は作用素不等式とlog-hyponormal作用素等の研究である。 棚橋、内山はS.M.Patelと共同してFuglede-Putnam型定理が(p,k)-quasihyponormal作用素に拡張できる条件を調べ、無条件では成立しないが、injectivityがあれば成立することを証明した。また、dominant, spectral作用素の場合も同様の結果を得た。また、M.Mecheriと共同してFuglede-Putnam型定理がp-hyponormal作用素とクラスY作用素に対して成立することを示した。また、S.M.Patel,長と共同してPutnam不等式をクラスA作用素にまで拡張した。また、S.M.Patelと共同して、新たな作用素変換S(T)を発見してAluthge変換との関係p-hyponormal作用素のスペクトラムとの関係を調べた。彼らとの共同研究はこの後も発展していてWeyl spectrum等についての成果が得られている。棚橋らはこれらの結果をいくつかの研究集会で報告した。また、東北大学で定期的に行われている作用素論、作用素環論セミナーで武元、三浦らとともに詳しく検討した。 三浦は石川、大西と共同して、4次正方行列が自己共役錐体M_2(R)^+を保存する意味で順序を定義し、2つの行列がこの順序を保存しているならば、ある実数が存在して、それ以上のすべての実数べきに対して順序を保存することを証明した。また、高橋、塚田らと共同して、ある種の条件のもとでの3項間漸化式x_{n+1}=f(x_{n-1},x_n)で定義される数列の挙動問題について考察をした。これは2002年のS.Stevicの結果の拡張であると同時にTaiwanese Journal of Mathematicsから出版される予定の三浦らの論文では適用できない方程式を含むもので、これまでの結果を拡張した。さらに、その具体例の収束性について研究し、数理生物学における競争種モデルへの応用を行った。
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