研究概要 |
1.新潟大学理学部の泉池敬司との共同研究「有界解析関数空間上の荷重合成作用素の位相構造」において豊富な結果を得た.これは先駈けとなった大野の「荷重」のない「合成作用素」の場合の拡張であるが,まず荷重合成作用素の差のcompactness, weak compactness, complete continuityの同値性が確認された.そして,位相構造については,荷重にあたる関数が絶対値1をとる集合による場合分けにより考察した,得られた結果は泉池敬司,新潟大学理学部の細川卓也との共著論文として投稿し,受理された.大野の結果は関数環の研究者によって拡張されているが,この場合も新たな問題を提起するものと思われる. 2.有界調和関数空間上のHankel-type作用素のcompact性,完全連続性も泉池教授との共同研究によって明らかにし,論文として投稿し受理された.この研究はDunford-Pettis性質,tight環,Bourgain環に関係するなど重要な応用面を多く持っている.引き続き,Hardy, Bergman空間の場合についても研究を開始した. 3.泉池,Cboa (韓Sung Kyun Kwan大学)と共に「有界調和関数空間上の荷重合成作用素」についても研究を行い,Poisson積分を利用して乗法作用素を定義するという新しい方法によって荷重合成作用素を定義し,その有界性,compactnessを特徴付けることを開始した.この定義は積が定義できない調和関数において,新たなる研究の将来を持つことが予想される.共著論文として投稿した. 4.大野の研究「有界解析関数空間上の合成作用素の位相構造」について,新潟大学理学部の細川卓也よりBloch空間への拡張が提起され,氏と共に研究を試み,合成作用素の差のcompactnessを完全に特徴付けた.その特徴付けがSchwartz-Pick型の不等式が道具になったことから,いろいろな話題との関係が予想される.この結果は論文として投稿した,引き続き,位相構造についても考察を行い,この結果も論文としての準備を始めた.
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