研究課題/領域番号 |
15540194
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
大域解析学
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
飯田 雅人 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (00242264)
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研究分担者 |
三浦 康秀 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (20091647)
大西 良博 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (60250643)
尾台 喜孝 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (10204215)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 反応拡散系 / 特異極限 / 非線形拡散 / 競争系 |
研究概要 |
反応拡散系の特異極限と見なし得る方程式系の範疇に、界面のような空間的特異性を伴わない方程式系は、あるのだろうか?本研究では、数理生物学における準線形拡散方程式に的を絞って、それらを特異極限として導出できる反応拡散系の枠組を調べた。この研究をきっかけに、「準線形拡散の本質的な機構を単純な相互作用と線形拡散だけで表現すること」の可能性と限界がはっきりしてくるものと期待される。 本研究の主な成果は、重定・川崎・寺本モデルと呼ばれる「競争的関係にある2種個体群における棲み分け現象」を記述する準線形拡散方程式に対して、その準線形拡散と本質的に同じ構造を持つ反応拡散系を新たに(形式的に)構成できたことである。これらの方程式系に対して、平衡状態の安定性に関するスペクトル解析、および、両者の解の差の時間発展に対するエネルギー評価を行なった結果、少々制限された条件のもとではあるが、前者(重定・川崎・寺本モデル)が後者(反応拡散系)の適当な特異極限として導出できることを、厳密に正当化できた。さらに、その特異極限操作の生物モデルにおける意味を解釈した。以前にも重定らのモデルを近似する反応拡散系の構成を試みたが、その時は生物現象のモデルとは見なし難い反応拡散系しか構成できなかった。今回は、競争相手の混雑度に応じて拡散係数を転換するような構造を、速い拡散状態にある個体の数密度と遅い拡散状態にある個体の数密度が満たす反応拡散系として定式化できたことが、大きな収穫である。 また、本研究を進めるための貴重な研究情報を整理する目的で盛岡応用数学小研究集会を3回開催し、そこで集約された成果を研究基礎資料として100部以上の冊子にまとめ、全国の関連分野の研究者に広く配布した。この小研究集会を通して、反応拡散系にまつわるささやかな研究拠点が岩手大学という小回りの効く地方大学に築かれつつある。
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