研究課題/領域番号 |
15540196
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
山上 滋 茨城大学, 理学部, 教授 (90175654)
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研究分担者 |
増岡 彰 筑波大学, 数学系, 助教授 (50229366)
山ノ内 毅彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30241293)
大嶋 秀明 茨城大学, 理学部, 教授 (70047372)
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キーワード | テンソル圏 / 量子亜群 / ホップ代数 |
研究概要 |
本研究課題ではテンソル圏と量子亜群の構造解析をとくにホップ代数と作用素環の立場から研究することを目的としている。本年は初年度ということもあり、今後の準備的な調査研究を中心に、ホップ代数の表現の作るテンソル圏の量子対称性において果たす役割りについて精査した。 1 既に過年度の研究課題において明かにされたように、テンソル圏における量子対称性は、有限次元ホップ代数の表現のなすテンソル圏の埋め込みから生じるものである。ここでは、このような形で実現された量子対称性の構造を、さらに代数的な形での再構成を目指して、フロベニウス代数による定式化を行い、いくつかの基本的な構造定理を得ることができた。その内容は、テンソル圏におけるフロベニウス代数を考え、その圏論的な意味での加群の作るテンソル圏を扱うことにより、元のテンソル圏の情報が様々な形態に変化し得るというもので、しかも、そのように見掛けが大きく異なるテンソル圏が出現するにも係わらず、全ての情報を失わない、というある種の双対性が成り立っていることも確認できた. 2 一方テンソル圏の代数構造の記述において、位相幾何学的な量が重要な役割りを演じることは、絡み目の量子不変量という形で詳しく研究されてきたところであるが、今回の再検討において、一つ盲点とでもいうべき視点を得ることができた。これは、テンソル圏を始めとする量子対称性の幾何学的応用というこれまでの流れを逆転させて、幾何学的な情報を利用して、代数的な構造を解析するというもので、このアイデアをTemperley-Lieb圏のKauffman模型に適用してみたところ、Temperley-Lieb代数の構造解析が、幾何学的に見通し良く得られるという事実を確認することに成功した。より詳しい分析は、今後の課題ではあるが新たな研究の手がかりをつかんだと言える。
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