研究概要 |
Neumann境界条件や非凸領域での冪の形の非線形項をもつ半線形拡散方程式の解の爆発のrateは,逆向きの自己相似的な変数変換を用いた有名な方法では得ることが出来なかったが,Liouville型の定理を応用することによってそれらがタイプIの爆発、即ち、対応する常微分方程式と同様の爆発オーダーによる爆発であることを非線形項に関する適当な条件の下で証明した.これにより,このような境界条件の下でも爆発点の近くでの解の様子は既によく知られている初期値問題のそれと類似していることが分かる. 半線形拡散方程式の解がどこで爆発するかを知ることは重要であるが、それは拡散項と非線形項との相互作用によって決定されるので一般には非常に難しい問題であると思われる.従って,ひとつの試みとして,Neumann境界条件の下で拡散係数が非常に大きい場合を考えた.Neumann境界条件のもとでは恒等的にゼロでない初期値から始まる解は必ず有限時間で爆発することは容易に分かる.拡散項には解の爆発を抑える効果があり非線形項は解の爆発を促進する効果がある.非線形項の影響が拡散項のそれより優勢になるとき解の爆発は起こるのであるが拡散係数が非常に大きい場合はこれらがうまくバランスを取り合い爆発点の位置は拡散項から決定されることを証明した.例えば,あまり複雑ではない領域では解の爆発は境界付近でしか起こらないことが分かった. 超臨界指数をもつような非線形項の場合は指数が小さい場合とは全く異なる爆発現象が起こることを示すいくつかの結果は既に得られていたが,ある指数を超えると空間的に非斉次な逆向きの自己相似的な爆発解は存在しないであろうことを示唆する数値解析の結果が最近得られた.その非存在結果に対して数学的に厳密な証明を与えた.
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