研究課題/領域番号 |
15540202
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石毛 和弘 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (90272020)
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研究分担者 |
宮川 鉄朗 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (10033929)
名和 範人 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (90218066)
長田 博文 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20177207)
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キーワード | 爆発問題 / 拡散方程式 / 爆発集合 / 固有空間 |
研究概要 |
平成15年度においては、東京学芸大学の溝口紀子氏、東京理科大学の柳下浩紀氏らと共に、拡散の効果が大きい場合の固体燃料の燃焼に関する問題、より具体的には有界領域における準線目形拡散方程式の爆発問題をノイマン条件化かつ拡散係数が十分大きいとの仮定の下で考察した.このために、解の固有関数に着自した詳しい漸近解析を行い、さらに非線形特有の議論を行うことによって、解が爆発する直前の形状を調べ、それによって爆発集合の位置に関する結果が得られた。具体的には、拡散係数が十分大きい場合、初期値の第2ノイマン固有空間への射影によって得られた関数の最大点の近くでのみ解は爆発することがわかった。また、この研究により、拡散係数が大きいときの爆発が起こるメカニズムがかなり詳しくわかったことになる。ときのこのような研究は他に例がなく、画期的な研究結果であると考えている。このような爆発問題を考察する場合、多くは非線形項の強さについてソボレフの不等式に関する制限が入るのが普通であるが、本結果においてはそのような仮定もないところも大きな特徴の一つである。 また、爆発時刻についても考察を行った。爆発時刻は爆発集合とは異なり、初期値のすべての固有空間への射影が影響することがわかる。これは、すでに研究代表者である石毛が得ていた爆発時刻に関する結果を精密化することによって得られた。この結果は、解を線形の熱方程式の解を用いてうまく近似することによって得ることができる。爆発時刻と爆発集合は共に解の爆発挙動についての重要な情報を与えるにも関わらず、それを決定する要素が異なるのはとても興味深いものであると考える。
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