研究概要 |
南部は,1,Static feedback機構でのspectrum再配置問題において,観測器,制御器がともに設計不可能なspilloverをもつ場合,可観測性,可制御性の仮定の下で,有限次元部分構造における基本解の精密な評価を得ることにより,安定性向上を達成した.また,部分構造の次元の増加にしたがって不安定spectrum間の代数的関係による内部特異性が強くなりまた増加することを示し,その次元が5以下の場合に,内部特異性の除去に成功した(早稲田大学7階セミナーにて発表(平成17年1月),投稿中).2,放物形境界制御系において,楕円型作用素の分数ベキを経由する従来の解析的方法の(系の適切性に関する)構造限界を明らかにし;新しい代数的方法を提案し;第1,3種境界条件が混在する複雑な境界制御系の安定化を達成した.更に,境界条件の複雑さにかかわらず,標準的な関数空間:L^2-理論の枠内で安定化を達成できる統一された最も簡単な新しい代数的アプローチの開発・提唱に成功した.これは,より弱いトポロジーの空間での系の抽象的な考察とは反対方向の研究である.そして,解のregularityに関して,解析接続を経由する新しい手法を提案し,L^p-理論とC^α-理論とを結びつけた.3,状態安定化の達成に(固有値の多重度に依存して)必要な数の観測器,制御器が得られない場合においても,無限次元代数方程式を導入し,少なくとも出力安定化が達成できる代数的条件を導き,安定化論の新しい側面を見出した. 中桐は,1,非線形双曲系のパラメータ同定において,推定解を特徴づけし,摂動されたKlein-Gordon方程式の数値解析を行った.2,関数微分方程式の解と入力の同定問題の一意性条件を導いた.3,sine-Gordon方程式,Klein-Gordon方程式等の2階非線形発展方程式の最適制御における最適性の必要条件,最適解の変分安定性を考察した. 田畑は,1,経済のmacro解析での自己言及性に関し2つのagent-based modelの構築,比較を行った.自己言及性をもつ際,scaling limitの存在,非存在条件を導いた.2,人口移動現象を記述するagent-based modelにおいて,t→∞の際のモデルの漸近挙動を考察し,モデルが定常状態に確率密度収束することを示した. 内藤は,1,t=0で特異性のある熱方程式において,非線形項が劣臨界的な指数増大度をもつ際,複数解の存在を示した.2,2階常微分方程式に対する境界値問題の多重解存在性について,shooting method, Sturumの比較定理を経由し,与えられた数の零点をもつ解の存在条件を求めた.
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