研究課題/領域番号 |
15540207
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
梶原 毅 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (50169447)
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研究分担者 |
佐々木 徹 岡山大学, 環境理工学部, 講師 (20260664)
綿谷 安男 九州大学, 数理学研究院, 教授 (00175077)
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キーワード | ヒルベルトC^*-双加群 / 離散力学系 / 複素力学系 / 自己相似集合 / KMS状態 |
研究概要 |
本年度は、以下のように研究を行った。 1.左右内積をもつ加算生成ヒルベルトC^*-双加群における有限指数性についての理論整備を完成させた。この研究の成果は、Jones index theory for Hilbert C^*-bimodules and its equivalence with conjugation theory として公表した。 2.有理関数によって与えられる複素力学系からヒルベルトC^*-双加群によって構成されるC^*-環の単純性、純無限性の証明、またいくつかの例についてのK-群の計算についてはすでに論文にまとめており、刊行予定である。 3.自己相似集合に対してヒルベルトC^*-双加群によってC^*-環を構成し、複素力学系の場合と同様、作られた環が単純かつ純無限になることを証明した。また、シルピンスキー・ギャスケットに対して自己相似写像違いで同型でないC^*-環が現れることを示した。これらの結果も、すでに論文にまとめており刊行予定である。 4.自己相似集合に対して構成されるヒルベルトC^*-双加群に対して具体的に可算基底を構成し、それを用いて生成されるC^*-環上のKMS状態の特徴づけを行った。さらに、区間力学系、シルピンスキーギャスケットなどの特別な例において、KMS状態の完全な分類を行い、不変測度から作られる標準的なKMS-状態以外に特異点から離散的なKMS状態が新たに生じることを示した。 5.複素力学系の場合で連続な切断がとれない場合にも、局所座標系をとることによって可算基底を具体的に構成している。ただし、複素力学系の場合には、分岐点が連鎖をなす場合があり、この場合の解析は次年度以降の課題である。 6.リーマン球面全体に対してもC^*-環を定義してイデアル構造を研究している。極大I型イデアルの解析、およびKMS状態とファトウ集合の関係についても研究中であり、次年度以降の課題である。
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