研究課題/領域番号 |
15540218
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
桑野 泰宏 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 講師 (80309038)
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研究分担者 |
中屋敷 厚 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (10237456)
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キーワード | 楕円量子可積分系 / 8頂点模型 / SOS模型 / 角転送行列法 / Smirnowの公理 / 秩序・乱雑相変換 / SU(2)不変Thirring模型 / nミニマル |
研究概要 |
本研究の目的は、8頂点模型やSOS模型に代表される楕円量子可積分系を、主に角転送行列(CTM)法に基づくブートストラップ的なアプローチで解析することである。ただし、楕円量子可積分系の解析には相当の困難を伴うので、CTMブートストラップ法にこだわらず、量子頂点作用素の方法やベーテ仮設法など、あらゆる方法論を駆使して解析することを目的としている。 楕円量子可積分系を規定する重要な物理量として、形状因子を考察した。8頂点模型の形状因子を構成するための準備として、桑野は、サイクリックSOS模型の形状因子の積分表示を構成した。この表示は、Smirnovの公理をみたすように構成され、また、レベル0のKnizhnik-Zamolodchikov方程式の解でもある。ここで用いた公理論的な構成法は、量子頂点作用素の方法と相補的な方法論を与える。 さらに桑野は、8頂点模型における秩序・乱雑相変換に伴い、8頂点模型の頂点作用素がどのような変換を受けるかを調べ、乱雑相における頂点作用素が、白石が構成した8頂点模型の頂点作用素と密接な関係があることを示した。また、秩序層における多点相関函数が、乱雑相における別の多点相関函数で表されることを示した。 中屋敷は、SU(2)不変Thirring模型の形状因子の解空間を規定し、また、形状因子の留数が消えるための十分条件を考察した。これは、形状因子がnミニマルであるための条件である。さらに、nミニマルな形状因子の空間を、n完全形状因子の空間で割って得られる空間の指標を計算し、これが、アフィンリー環sl_2ハットのレベル1最高ウェイト表現の、最高ウェイトλの部分空間の指標に等しいことを示した。
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