研究概要 |
繰り込み群は数学的解析法として数理科学の諸分野に地歩を占めたがやはり計算法の困難さは否めない。4次元の格子ゲージ理論やシグマ模型ではクオーク粒子の閉じこもりや質量生成がおこると言う現代物理の基本仮定は,今世紀に未解決で残された。この問題の難しさは系の非線型にあり、繰り込み群もそのままでは応用出来ない。伊東は非線形スピンモデルをフーリエ変換し,生ずるランダムポテンシャルψ(x),x∈Z^2を含むラプラシアンのGreen関数(-Δ+iψ)^<-1>(x,y)の振る舞いが重要な役割を担い,この事実からスピン系の相転移不存在(コーク粒子の幽閉に関する長年の予想)が出てくることを示唆した。ここでψ(x)はガウス的な確率変数である。ここにおいてはもとの系に質量がないのに,質量が自動的に現れるアンダーソン局在の現象が重要である。これから長年の問題の解決が帰結すると期待している。 廣島は量子電気力学を古典近時したPauli-Fierz模型の紫外切断に対する依存性を計算し、摂動の3次でその計算が量子電気力学とは振る舞いが異なることを示唆した。これはPauli-Fierz模型の限界を示唆するかも知れない。 また島田は球面上に分布するポテンシャルが原点に収束するとき、適当なスケーリングをとれば、Resolventがノルム収束することを示した。
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