「あすか」衛星による銀河面サーベイ観測において、既知の超新星残骸の多数から初めてX線放射を検出できた。このうちG344.7-0.1について詳しく調べた。その結果、電波で観測された構造に対応したX線分布をすること、そしてX線スペクトルは、温度が900万度程度の高温プラズマガスからの放射としておおむね説明できるが、電離のあまり進んでいない鉄元素からの輝線が存在する可能性があることがわかった。 この銀河面サーベイ観測では、未同定の拡がったX線放射天体も多数発見された。銀河面サーベイのデータだけでは観測時間が短く統計が十分ではないため、その正体を明らかにするために追観測を行ってきた。これらのデータの詳細な解析を進めているが、やはり点源には分解できない拡がった構造をもち、X線スペクトルは輝線構造を伴わない硬いスペクトルであることを明らかにしつつある。このような天体はどのような天体であるのか、その正体は未だ明らかではないが、このような天体が銀河系内にたくさん存在している可能性を示唆する。 銀河円盤・銀河バルジ領域に存在する拡がったX線放射について、「ぎんが」衛星によるスキャン観測のデータの解析を進めた。この結果、銀河円盤から数度離れた場所にも拡がったX線放射が存在すること、銀河バルジ領域にも同様の放射が存在していることを確認した。今後、さらにスキャン観測のデータの解析を進め、全体像を明らかにしていく予定である。
|