研究課題
本研究の目的は、1-2μm帯の近赤外線波長領域において飛翔体に搭載し、太陽系黄道光および宇宙背景光輻射の測定を可能とする検出器を開発することにある。PLANET-C/VCOに搭載される赤外線カメラには、1-2μm帯で優れた感度と、大きなフォーマットサイズ、優れたダイナミックレンジ、画質の良好性から三菱電機により開発されたPtSi型検出器を用いる。この検出器は既に上野らによって天文観測への応用がなされた実績を持っものの改良型である。しかし宇宙背景放射などの超微弱光の測定に用いる場合、熱雑音を抑制するため通常のCCDの最適駆動温度よりも低い温度(60K程度)で動作させる必要がある。このような低い動作温度帯は電荷転送効率の低下が無視できない温度領域である。本研究では、低温下での赤外線CCD回路の特性、特に電荷転送効率及び読出ノイズの特性について問題点を洗い出し、CCD回路設計の最適化へ反映させ、実際にPLANET-C/VCOに搭載して黄道光や宇宙背景放射の観測を行うことの可能な検出器を開発することを目的としている。昨年度に引き続き、低温条件下におけるCCDの転送効率を測定する目的でPtSi検出器を温度コントロール下で完全にダークな条件に封入し、放射線医学総合研究所のHIMAC陽子加速器、および放射線総合研究所のガンマ線照射装置を用いて放射線被爆を起こさせたサンプルを用意し、低温下・小電荷環境下における電荷転送効率およびその悪化を、温度条件・駆動電圧条件などを変えながら系統的に測定した。この結果を元に、検出器の設計に反映させることを目的に、三菱電機先端技術総合研究所の協力により、半導体素子の設計検討を行った。またこれらの作業と会わせて、黄道光観測時に必要な検出限界を定量的に見積もるため、ハワイマウナケア観測所において黄道光のモニター観測を行い、その輝度分布の調査を行った。
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Journal of the Korean Astronomical Society 37・4
ページ: 159-169
ISAS Research Note 765
ページ: 1-8