研究課題
本研究の目標は、並列GRAPEクラスタシステム上で効率良く動作し、恒星進化と恒星系の力学進化をカップルさせてシミュレーションできるプログラムを開発することと、それを使って星団内で恒星の暴走的な合体が起きる条件を決定することである。前半の、並列シミュレーションプログラムの開発については、今年度大きな成果を達成できた。高密度恒星系の並列計算機上のシミュレーションでは、星の通勤する時間スケールの幅が極めて大きいために、実効的な並列度が粒子数に比べてずっと小さくなる。このために、プロセッサ間の通信のバンド幅よりもレイテンシで計算速度が制限され、価格性能比のよいPCクラスタではプロセッサ数を増やしても性能が向上しなかった。我々は、安価なギガビットイーサネットのネットワークアダプタを使って、極めてレイテンシの低い通信をサポートするライブラリを構築した。標準的なTCP/IPベースの通信ライブラリではレイテンシは100マイクロ秒前後であるが、我々の実現したシステムではスイッチングハブを介しても片道のレイテンシが10マイクロ秒と、ほぼ1桁の性能向上を実現した。これにより、PCクラスタをホストとする並列GRAPEシステムで高い実行性能を実現することが可能になった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)