研究課題/領域番号 |
15540231
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田辺 俊彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90179812)
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研究分担者 |
中田 好一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011740)
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キーワード | 恒星進化 / 恒星進化終末期 / 漸近巨星枝星(AGB星) / 質量放出現象 / 長周期変光星 / マゼラン星雲 / 国際研究者交流 / 南アフリカ |
研究概要 |
本研究では南アフリカ天文台に設置されたIRSF望遠鏡+近赤外カメラSIRIUSを用い、大小マゼラン雲及び我々の銀河系の球状星団を系統的に観測することにより、中・小質量星の進化末期、特にAGB期における進化を観測的に研究してきた。 本年度は、球状星団のAGB星に対してSiOメーザーの探査を行い、6つの星がメーザー源であることをつきとめた。AGB末期においては激しい質量放出が起こり、それに伴いメーザー現象が予想され、銀河系内の多くのAGB星でSiOメーザー源が見つかっているが、球状星団においては初めての発見であり、金属量が少なく、質量の小さい星においても同様の現象が起こることが示された。 また、金属量の少ない種族IIの星においては、AGB期の幾つかの段階でセファイド不安定帯を通過することにより種族IIセファイドとなることが予想されていたが、我々は球状星団の反復観測から26の球状星団で46の種族IIセファイドを同定した。このうち10星が新たな発見であった。これらセファイド型変光星の周期を確定し、近赤外における周期・光度関係を調べたところ、周期1日から100日にわたってきれいな直線関係があり、さらにこの関係がもっと周期の短いRRLyr型変光星の領域までも適用されることを見出した。またこの結果を大マゼラン雲中の種族IIセファイドと比較したところ、周期が40日までは同様の周期・光度関係に従うが、これより周期の長いRVTau型変光星においては、球状星団の種族IIセファイドより明るい側にずれることが判った。現在のところ原因は不明であるが、RVTau型星はAGB末期の質量放出現象後に出現すると考えられており、質量放出現象が関係していることを示唆していると思われる。
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