研究課題
宇宙ジェットの加速に対して、初年度(平成15年度)では、ガス圧・輻射圧・磁気圧などさまざまな駆動力の効果を評価するために、幾何学的に薄い降着円盤の表面から吹き出す定常流モデルを構築した。ガス降着率が非常に小さい場合や非常に大きな揚合には、降着円盤は幾何学的に厚くなることが知られている。そこで今年度(平成16年度)は、ガス降着率が非常に大きくて、降着円盤が放射圧優勢となり、幾何学的に厚い場合について、放射圧によって加速される軸上ジェットモデルを考えた。ガスの角運動量を無視した軸上ジェットの場合、ジェットガスに対しては、中心天体の重力(減速)、円盤放射の放射圧(加速)、放射抵抗(減速)などの力が働く。さまざまな初期条件でジェットガスの加速を計算することは可能だが、できるだけ一般的な動向を調べるために、本研究では、(1)放射圧と放射抵抗のみが働いた場合にガスの感じるネットな力が0と奪る速度-「平衡速度」と(2)放射圧・放射抵抗・重力がすべて働いた場合にガスの感じるネットな力が0となる速度-「終末速度」を求めてみた。解析の結果、平衡速度は遠方で光速に近づくが、終末速度は光速よりも小さいことがわかった。さらに、終末速度はガス降着率(あるいは円盤光度)だけに依存することもわかった。具体的には、光速で規格化した終末速度〜1-π/√(エディントン降着率で規格化した降着率)終末速度のローレンツ因子〜1+0.223×エディントン光度で規格化した円盤光度という経験的な関係式が得られた。種々のマイクロクェーサージェットへの適用が考えられる。
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